都市計画素案に対する公聴会での
公述人の発言について
川崎市の都市計画素案に対する意見申出が10月28日、中原区等々力の等々力陸上競技場(Uvance とどろきスタジアム by Fujitsu)内の会議室で開催されました。川崎市都市計画の変更は、①等々力緑地の廃止、②等々力緑地公園の追加、③緑地公園の用途地域の変更、④緑地公園の高度地区の変更、⑤緑地公園と周辺地域の防火地域及び住防火地域の変更、を行うものです。いずれも等々力緑地再編整備にかかわって都市計画の変更をしようとするものです。
公述人は15名(1名は文書発言)で、発言は1人10分でした。
今回、等々力緑地を守る会は、公述人の方にお願いして、発言原稿を寄せていただき、ホームページに掲載することにしました。
(今回11名分の発言を掲載)
公述意見に対する市の考え方は、「後日、公述要旨とともに、公述された方に通知するとともに、都市計画かのホームページ、都市計画か、中原区役所、中原図書館に掲示し、お知らせします」ということになっています。掲載まで、1カ月半程度かかることが予想されます。
なお、今回の川崎市都市計画素案を知るには、川崎市のホームページを開き、「川崎都市計画素案 等々力緑地公園」と入力して検索してください。
公述人 A
テニスコート箇所の立体駐車場とフロンターレ公園箇所の温浴施設・商業施設建設に反対します。
等々力緑地の中央遠路は中原小学校通学路です。新丸子、武蔵小杉方面からくる人はほぼ小杉神社前、テニスコート横の中央園路から等々力緑地に入ります。テニスコートの場所が立体駐車場になると中央園路入口から入る人と自転車、立体駐車場に出入りする車により危険地帯になることが予測できます。
子どもが安全に通学できる通学路ではなくなること、商業施設乱立による治安の悪化、自然と触れあう学習の場がなくなることに対して、普通の考えでは危険と判断し、「子どもの教育にふさわしくない!」となるのですが、川崎市がこの改変を問題視していないことはなぜですか。市は川崎都市計画公園の変更まで行い計画しているとどろきパーク株式会社の計画案に異議することもなく、許可している背景には何があるのでしょうか答えてください。「安全・安心で魅力あふれる公園」とありましたが、川崎都市計画公園の変更を行うことで安心安全とは程遠い状態になることが目に見えています。
また現在のとどろきパーク(株)の計画案が周知されていないため地域住民、教育現場のほとんどの方が計画内容を知りません。先週、中原小学校PTA会長、副会長、地区委員長と会話する機会があり、とどろきパーク(株)の計画にある温浴施設、立体駐車場、自由提案施設について知っているか聞いてみましたが、何も知らず驚いていました。通学路にどのような施設がつくられる予定で、日中にどのような人物の来園を予測し、計画している各施設の営業時間、往来する車の台数予測、排気ガス排出量による子どもへの影響を中原小含む隣接する学校、保育園、教育委員会、PTA(児童家庭)、地域住民に周知する義務があるのではないのでしょうか。都市計画緑地の変更、とどろきパーク(株)が提案する商業施設、温浴施設、宿泊施設等を児童でもわかるように説明し要否・賛否についてアンケートを実施してください。
現状イベント時の下校時間には人があふれており、帰宅に要する時間が長くなっております。そこへ立体駐車場、温浴施設が加わることでさらに人が増えることが予測できます。フロンターレ公園の位置に温浴施設ができた場合は、児童の登下校時に地域住民ではない外部からの利用者と通学の児童が行き来する場面が発生しますので、不信者の増加につながり治安悪化が考えられます。実際にサッカー試合時に子どもたちが競技場前で「ここを通るな!」と言われ警備員に通報したことがあります。公園とは子どもたちが安全に自由に遊べる場所ではないですか。川崎市は子どもの登下校時や遊び場について、考えられる影響危険性について答えてください。
中央園路は整備後に一般車両通行は禁止されるかと思いますが、自由提案施設等の搬入や関係者車両は緑地内の中央園路を使用できると思っております。なぜ今回の”都市計画緑地の変更”に等々力地区が含まれているのにもかかわらず、等々力住民は中央園路を使用できないとなるのでしょうか。物販飲食店等への搬入で入る車と住居へ向かう車の違いは何ですか、中央園路を必要とする利用者ではないですか。緑地変更地域に含まれる等々力世帯数はわずか158世帯ですので通行許可を出してください。等々力住民に通行許可を出せば外周園路の再整備は不要または現状道路幅のままの整備となり樹木伐採削減、樹林地保全にもなります。川崎都市計画緑地の変更に属する住民に対して使用させない理由はなんですか。
また等々力地区で緊急車両が必要となる事故等が発生した場合「警察官職務執行法 6条2項」により緊急車両は等々力緑地内を通行することができます。そのため緊急車両を通すために必要な外周園路幅は9mと説明されていましたが、9m幅は不要となります。
令和6年3月の外周道路説明会で樹木、希少生物に配慮した代替案3案のうちの最小幅で問題なく、樹木の伐採も最小限にすることができます。生物、樹木、希少植物の保全にもつながります。また等々力町内会、小杉陣屋町でいくつかの家庭を調査しましたが外周園路についてはまったく周知されておらず、園路に面している家庭でさえ最大9m幅になる案があることは知りませんでした。町内会では回覧板すら回されることもなくこれは明らかに地域住民への隠蔽工作ではないでしょうか。特に道路に面している住宅には一軒一軒要望を聞きに行くべきです。また等々力土地所有者に周知することなく「川崎都市計画公園の変更、川崎都市計画緑地の変更」を進めることは違法ではないですか。
緑地公園のためではなく、立体駐車場、温浴施設を含む商業施設をつくために用途地域の変更、高度地区の変更、防火地域変更はしないでください。また先日、武蔵小杉のグランツリーで火事があったように、飲食店ができることにより火災のリスクが高まります。防火設備の整った新しい商業施設でも火災は起こります。地域住民、市民の声を聴かずに、等々力緑地再編成計画を進めることは困難だとおもいます。どうか市民・未来の子どもたちに安心安全な憩いの場をこのまま残してください。「新たな日常」は不要です。
【補足】
●消防車と救急車:火災の現場に到着するため、または救急業務を実施するために「緊急の必要があるときは、一般交通の用に供しない通路若しくは公共の用に供しない
空地及び水面を通行することができ」ます。
●警察官職務執行法によると「警察官は、前二条に規定する危険な事態が発生し、人の生命、身体又は財産に対し危害が切迫した場合において、その危害を予防し、
損害の拡大を防ぎ、又は被害者を救助するため、やむを得ないと認めるときは、合理的に必要と判断される限度において他人の土地、建物又は船車の中に立ち
入ることができ」ます(6条2項)。
公述人 B
等々力緑地は古くから市民に親しまれた貴重な緑地ですが、2015年にはすでに野外プールもなくなりました。 3人の子育てをしてきた私のような市民には今でも残念で仕方ありません。すぐ身近にあった野外プールにはどれだけ助けられたかしれません。利用料金が安価で、安全、安心でした。お金をかけなくても夏は近くで存分に楽しむことができました。私の成長した子ども達は自分が経験したような恩恵にはあずかれないのです。老朽化が理由ならなくさないで建て替えるべきでした。
川崎市にはそんな貴重な場を再現していただきたい。多くの市民が今も強く感じていると思います。誰もが、安価で安心して使用できる家族が楽しめる野外プールをなぜなくしたのでしょうか? 多くの市民は、いまだもって納得がいきません。
「催し物広場」では、学童保育の仲間たちとの運動会の思い出もあります。秋の日に1日ゆっくり子どもたちも大人たちも歓声をあげて楽しく過ごしました。そこの樹々が伐採されるなんて悲しくて仕方がありません。広くて解放された空間で自然と人間が共存していることを感じながら過ごせました。全身で季節や風を感じられる素敵な空間です。なぜ樹々を伐採し手を加える必要があるのか、やはり理解できません。
地区計画の理由書で述べている、「等々力緑地は、川崎市のほぼ中央に位置する、市を代表する総合公園です。「川崎市総合計画」において、本市の三大公園に位置付けており、社会環境の変化による新たな課題等に対応し、安全・安心で魅力あふれる公園の実現に向けて、民間活力を導入した緑地全体の再編整備を推進するとしております」とするなら、このことがすでに庶民感覚とは乖離しています。
安全・安心で魅力あふれる公園の実現に向けて、民間活力の導入など必要がありません。
自然と調和した安全・安心で賑わいのある、より魅力的な公園などとどうして言えるでしょう?
民間活力の導入がそもそも間違っています。市民の財産をこれ以上破壊しないでください。貴重な緑地はそのまま保全してください。
地区計画の目標として、「本地区はJR南武線、東急東横線武蔵小杉駅から約1kmの位置 にある総合公園であり、緑と水のうるおいの空間を有し、多数の運 動施設や市民の憩いの場など多面的な機能を有する貴重な地域資源 として広く市民に親しまれてきた。
等々力緑地は、本市を代表するスポーツの拠点としての役割りを 持ち、興行利用も可能な大規模な観覧場を有する運動施設を主体と多様化する市民のニーズに応えられる施設や機能など日常的な賑わいの創出が求められている。
本計画は、今後においても誰もが心地よく過ごせる憩いの場を確保し、市民活動やスポーツの拠点として地域の活性化を図ると共 に、周辺の住宅市街地への環境に配慮しつつ、多様なニーズに応えられる魅力ある地区を形成し、これを維持及び保全することを目標 とする」とあります。
とするなら、すでに市民感覚とは乖離しています。
本計画は、「今後においても誰もが心地よく過ごせる憩いの場を確 保し」とありますが、そのために民間活力の導入など必要がありません。
「多様なニーズに応えられる魅力ある地区」って誰にとって「魅力」なんですか。等々力を開発する民間企業にとっての「魅力」なんですか?それとも市民にとっての「魅力」なんですか?
この答えは、公聴会の後に開かれる審議会で、委員の前で正々堂々と答えてください。
また、市民にとって「魅力」という回答ならば、市民にとってどんな等々力が魅力なのか、のべてください。もし、市民にとってどんな等々力が魅力なのかを、川崎市が知らないならば、審議会を開く前に、「等々力緑地を守る会」と共同で、近隣住民等々力利用者を対象としてアンケートを実施して調べてください。
やっぱり、「民間活力の導入がそもそも間違っています」よね。
「儲けている民間企業の金を集めてきて、儲からないことをやるために「公」(政府、地方自治体)がある」のに、川崎市はなぜそういうことをやらないのですか。その理由を、税金を払っている市民の一人一人が納得できるように、わかりやすく説明してください。
「多様化する市民のニーズに応えられる施設や機能など日常的なにぎわいの創出が求められている」と記載されていますが、
「日常的な賑わいの創出が求め」ているのは誰か?
現在の利用状況以上のにぎわいを求めているのは誰か?
現在の利用状況以上のにぎわいが必要か?
「周辺の住宅市街地への環境に配慮しつつ」というが、現状よりもよりにぎわった時に、交通量の増加による影響はどのように見積もっているのか。地域住民に理解できるように答えてください。
「誰もが心地よく過ごせる憩いの場を確保し」とあるが、温暖化が進行している昨今、「誰もが心地よく過ごせる憩いの場」は「確保する」だけでは不十分で、木をもっと植えて、現在よりも広くするべきです。
「確保する」というのは「一応残しておくが」程度の意味しかないのでしょうか。
「緑と水のうるおいの空間を有し、多数の運動施設や市民の憩いの場など多面的な機能を有する貴重な地域資源として広く市民に親しまれてきた」のに、不要なものをもちこんで木を切ったりしないでほしい。
川崎市はしっかりと地域住民に理解できるように答えてください。
公述人 C
私は等々力緑地の都市計画素案の内容に驚くとともに、異常な緑地破壊を招く都市計画素案の撤回を求めて発言します。
昨年4月、PFIの導入でとどろきパーク株式会社が等々力緑地の運営権を取得しましたが、パーク(株)がどのような再編整備計画を考えているのかは、今年6月に開かれたオープンハウス型の説明会まで市民には知らされていませんでした。
説明会会場に展示された図面を見て初めてこの計画の異常さに気づきました。緑地の広場一杯に黄色の施設が無数に描かれ、緑は完全になくなっていました。とくに18ヶ所に及ぶの自由提案施設が建設されるとともに、さらにテニスコートと催し物広場に3階建ての大型の立体駐車場も建設されることも初めて知り、大変驚きました。
市民は、川崎市が2022年に策定した等々力緑地再編整備実施計画で、球技専用スタジアムやアリーナ、スポーツセンターなどの建設計画は知らされていましたが、自由提案施設や立体駐車場の建設は寝耳に水の話しです。この様な施設が多数建設されると等々力緑地はどうなってしまうのか? 自然を身近に感じる緑地の機能が無くなってしまうのではないかと。 またたく間に、周辺住民からこんな計画は求められないと異議を申し出る声が広がっています。
この都市計画素案の問題点について見てみましょう。
第1に、等々力緑地は長年多くの市民が緑の静かな空間で癒され、生気を取り戻しスポーツで仲間と交流し、散策や運動で健康維持にも大きな役割を果たしてきました。
この緑地を公園に改変する意図は何でしょうか? 説明会で市の等々力再編整備室長は「何も変わりません」と答弁しました。何も変わらなければ変更する必要がありません。
緑地に無制限に建築構造物を建てられるようにするために建ぺい率を拡大し、高度地区を変更して高い建物の建築を可能とするために、緑地を公園に改変する必要があったことは明白です。
この都市計画素案は、今の緑地のままではとどろきパーク(株)が計画している商業施設やスーパー銭湯、1000台に及ぶ立体駐車場の建設、宿泊施設などの収益施設を自由に思いのままに建設ができない。それを可能とするためには都市計画の変更で緑地の役割を180度転換させるが必要だったわけです。
第2に、川崎市は10年余りにわたって議論し改定を重ねて等々力緑地再編整備実施計画をつくりあげてきましたが、翌年とどろきパーク株式会社に事業が移ったとたん、整備実施計画が大幅に塗り替えられてしまいました。とくに大きな改変は2か所の立体駐車場です。多くの市民が抽選待ちで利用している人気のテニスコートを移転し、高さ13mの立体駐車場を建設すること。 さらに多くの保育園児の遊び場となり、市民が年中を通しゲートボールや体操、ボール遊び、などのスポーツを楽しんでいる、花見の名所である催し物広場が潰されて、高さ13mの立体駐車場が建設されることです。どうしてこんな大きな構造物の建設が必要なのでしょうか。
今回の都市計画素案では、用途地域の変更として、これまでの第1種中高層住居専用地域の指定から第2種住居地域に変更するとしています。それまで商業施設や住環境をそこなう建物は建設できなかったものが、この変更で規模の大きな店舗や商業施設の建設が可能となります。高さの制限も緩和されることになります。
まさにこの都市計画素案はとどろきパーク(株)が描いた緑地全体を市民の憩いの場から、収益施設が乱立する公園にすることをあと押しするだけのものにすぎません。
いま等々力緑地に2か所の立体駐車場を含む1100台もの駐車場が必要でしょうか。これが出来ることで周辺の環境がどうなるのかを十分に検討されているのでしょうか。
ちなみにフロンターレの試合がある時には、今の2~300台の駐車場でも、車が等々力緑地の周辺の道路にひしめき渋滞で住民の交通にも多大な環境悪化をつくり出しています。
緑地周辺の道路は幹線道路でなく生活道路です。この道路沿いには保育園や小学校、中学校もあり、子どもたちの安全な環境を守るためにも、毎日1000台の車両が出入りする状況は極めて危険なものとならざるをえません。
川崎市は自ら作成した等々力緑地再編整備実施計画を反故にして、開発事業者のやりたい放題を許すのですか? この問題でも等々力再編整備室の室長は「なんでも許可するものではありません」と回答しました。ならば市民の憩いの広場を潰しての1000台の駐車場建設は計画をやめるよう指導してください。
第3に、とどろきパーク(株)の再編整備計画で緑地の多数の樹木が伐採される問題です。
計画で示された図表に基づき周辺住民が緑地の樹木約2千本を調査した結果、およそ
800本の樹木が伐採される可能性があることが判明しました。その大半は樹齢50年前後で高さも10mから20mの大木ばかりです。
緑の樹木は市民に安らぎと憩いの空間を提供し、豊かな緑は暑熱を防ぎ木陰が人の生気を取りもどします。災害時には多くの人が避難場所として利用する場となります。川崎市の緑化指針でも、「自然と人との共生する緑豊かな都市環境を創造していく」とのべ、また「緑化の推進により防災性向上に寄与するまちづくりを目指します」と決意を示しています。
地球の温暖化対策が叫ばれている時に、多量の樹木を伐採するような愚かな行為は、どんな市民からも非難される暴挙であることは明らかです。川崎市も事業者もそれ以上に植樹をするとして、伐採することを当然のように認めています。
これにとどろきパーク(株)のアセスメント準備書では、緑地内に建設する18棟の商業施設を含む建築物に設置される冷暖房施設や室外機が実に339台もあり、大半が24時間稼働するという驚くべき数字が記載されていました。いくら省エネ機器を採用しても、この大量の設備機器が放出する温排熱は緑地の環境を大きく損なうことは明らかです。
このような事業計画を可能とする都市計画素案は大胆に見直すべきではありませんか。
8月に発足した住民の組織「等々力緑地を守る会」が呼びかけた署名には、現在5000人を超える賛同が寄せられています。 さらに多くの市民にこの事業の実態を伝え、圧倒的な市民世論でこの無謀な等々力緑地再編整備計画と、都市計画素案を撤回するよう求めて行きます。
川崎市は市民の声を真摯に受け止め、改めて市民との協議の場を設け大胆に計画を改めることを求めて私の発言を終わります。
公述人 D
川崎市の都市計画素案に反対する立場から発言します。
等々力緑地は、1941年今から83年前に政府の都市計画決定によって、緑地と指定されました。1957年に川崎市が等々力緑地の買収を開始し、1962年から緑地内の整備を開始し、敷地の造成、植栽を行ってきました。
それだけの歴史を刻み、市民に親しまれてきた等々力緑地です。公園に変更するという重みのある計画素案にもかかわらず、9月27日の素案説明会は、川崎市まちづくり局の中身のない説明資料、本質を避けた覇気のない説明に失望し、怒りを覚えました。
私が言う中身とは何か、それは、川崎とどろきパーク株式会社と川崎市がすすめる等々力緑地再編計画にかかわる内容です。それにまったく、ふれもしないで、中身を省力して素案の提案をしていました。その再編整備計画の中身で市民が怒っているのは、緑地内に18か所も造られる自由提案施設の建設と、不必要と思われる立体駐車場の建設についてです。
9月に開かれた川崎パーク株式会社のアセス準備書説明会で明らかになった重要なことがあります。パーク株式会社が、当初から建設を切望してきた温浴施設は、「スーパー銭湯」であると明言したことでした。
スーパー銭湯の定義と特徴をネットで調べました。
①自動車での来店を想定し、駐車場を確保している。そのため幹線道路側につくる。
②ジャグジー、サウナ、露天風呂等の付加的な風呂設備がある。
③食事スペースや休憩場所がある。
④理髪店・ボディケア店が入店し、提携している。
⑤営業時間が長く、早朝・午前中から深夜まで営業している。
⑥休業日が少ない。またはメンテナンス日等を除いて年中無休である。
とあります。こんなものを緑地内に建設するなど言語道断です。
18か所の自由提案施設のうち、用途が明らかになったのはスーパー銭湯のみです。他の用途は明らかにしませんでした。
7月に市民とパーク株式会社との初めての懇談があり、私は質問しました。「18か所の自由提案施設に何店舗入るのですか」「まだ決まっていません」「20から50くらいですか」とたずねると「まあそんなとこです」と答えました。ショッピングモールのようなものをつくろうとしているのだと思いました。
9月のパーク株式会社のアセス説明会では、2階建て高さ15mの自由提案施設の建物について紛糾しました。「15mもあるのになぜ日影図がないのか」「2階建てで15mもある建物は想像できない」ということでした。パーク株式会社は用途については明らかにしませんでしたが、それは2か所の立体駐車場近くに3か所つくるということだけを明らかにしました。
そのような建物をつくるとなると今までの用途地域ではまずいから第2種住宅地域に変更しようとするのです。第2種住宅地域では2階建てで1万平方メートル以下の店舗・飲食店が建設できるようになります。
また、今回の都市計画変更では、等々力緑地およびその周辺地域をあらたに防災地域・準防災地域に変更しようとしています。
防火地域・準防火地域とはなにか、調べてみました。都市計画法において「市街地における火災の危険を防除するため定める地域」として指定されるエリア、とされています。さらに「火災の危険を防いで取り除くため、多くの場合で駅前や建物の密集地、幹線道路沿いなどが指定されている」、とあります、
いままで指定されていなかったのに、なぜか?「スーパー銭湯」をはじめとした18か所の自由提案施設の多くの飲食店舗が火を扱い、それらが緑地内に密集するため、都市計画の変更が必要になったと私は考えます。
立体駐車場の建設についてもふれておきたいと思います。立体駐車場をつくる本当の理由は、スーパー銭湯をはじめとする自由勝手施設に客を呼び込むためであることはあきらかです。テニスコートを移転させてつくる立体駐車場に430台、催し物広場を移転させつくる立体駐車場に360台、緑地全体で1150台もの駐車場台数になります。説明会でなぜこんなにつくるのかの質問に、パークが式会社は、「緑地面積が大きくなるのである程度の駐車台数は必要」と答えました。確かに緑地は36.6haから43,7haと1.2倍に拡大します。一方、駐車台数は現在の560台(とどろきパークホームページより)から1050台で2.05倍になります。パーク株式会社のいっていることは欺瞞(ぎまん)です。
こういった中身を全く捨象して、今回の都市計画素案は出されていることに怒りを覚えます。
29年後の2053年3月末で、東急を中心としたパーク株式会社は市民の税金632億5597万2382円を使い果たし、契約を終了します。等々力緑地から撤退するのです。入居しているテナントも当然、契約が切れるでしょう。その後の、等々力緑地はどうなのでしょうか。川崎市は、そんな先のことは考えようとしていないのでしょうか。未来の等々力緑地をどうしていくのかを市民に示さず、あとは野となれ山の川崎市とパーク株式会社の姿勢に憤りを持ちます。
こんな無責任な都市計画素案は撤回すべきです。以上です。
公述人 E
① 都市計画変更についての地元民への周知について
先日の都市計画素案説明会に参加して、緑地が新たに都市公園として変更になるとの説明を受けました。しかし、専門用語や抽象的な説明が多く、図面やプレゼンを聞いただけでは難しく、具体的なイメージができませんでした。
この都市計画の変更が、再整備計画と密接に結びついたものであると思いますので、再整備事業の内容と合せて一体のものとして、具体的に説明いただくことを要望します。
再整備計画については、川﨑市により10年以上かけて検討されてきたものであり、屋外プールの廃止、野球場の再整備などおもに老朽化を理由とするもので、利用者である地元市民にも内容が理解できるものでした。しかしながら、2年前にとどろきパーク株式会社に運営が移され、再整備の内容がガラリと変わったことを先月知り、大変驚き、困惑しています。
巨大な商業施設が沢山建てられる、というこれまでとまったく別物の整備内容でありますが、このことは周辺住民にはまったく浸透していない状況です。隣接する宮内中学校に通学している子どもの担任教師に、再整備内容を知っているかたずねましたが、まったく知らず、職員の間でも共有されていないとのことでした。道徳の時間に、クラス全員に知っているかアンケートしたところ、誰も知らず、生徒の間でも衝撃が走っていたそうです。自分達の利用してきた緑地が大きく様変わりすること、どのように自分たちの地元を守っていけるかを、考える時間となったそうです。同様に、保護者数十名にもアンケートを行いましたが、同様にまったく知られていませんでした。
地元民にとって、この等々力緑地は、自分たちの生活空間の一部です。
時代の流れに合わせて改変する、というのはある程度は分かりますが、ここまで急激な様変わりが、何故必要なのか、市民には理解できていません。とくに催し物広場は、地元民の思いがつまった広場であり、未来も守っていきたい場所です。子どもも大人も地元民が一番利用しており、非常に恩恵を受けています。いつでも気軽に行けて外の大通りから見えるため防犯上も大変安全です。この改変には、もっと十分に理解を得てから進める必要があります。
現状では、来年から取り壊し工事が始まって、その時はじめて知る人が大半になると思います。多くの市民が驚きと戸惑に陥ると予想されます。そして、自分達の緑地が、知らぬ間に勝手に壊された、何故知らされなかったのか、市民は裏切られた思いを抱くのでは無いでしょうか。
そのような進め方を避けるためにも、公園全体が現況と変更後で比較してどのように変更となるかが一目で分る資料を、半径2km程度の全域の幼稚園、保育園、小中学校(とその保護者に)に資料を配付して周知するとともに、アンケートをとって改変の必要の是非についても、市民と意見交換する場をつくって頂くことを強く望みます。
② 第2種住居地域への変更について
第2種住居地域に変更するとのことで、1,000平方メートルの遊戯施設、規模の大きな商業施設の建設が可能になるとのことですが、自動車の騒音や施設から流れてくる騒音などが懸念されます。これは憩いの場所としての公園機能を妨害する可能性があると思われますが、どのようにその機能を守っていくのでしょうか? また、夜間まで営業が可能となるとのことで、人の出入りが曜日や昼夜問わず多くなると見込まれますが、子どもが出入りする公園でもあるので、子どものトラブルにつながる恐れが考えられます。この相反する機能を両立させていくために、どのような対策を検討しているのか具体策をお聞かせください。また、施設共用後の防犯について、事業者はどのように監視していく計画でしょうか? 防犯体制についてもお聞かせください。
公述人 F
1.地域住民に知らせないで計画を進めてきたこと
市と等々力パーク株式会社説明会、等々力パーク(株)主催のオープンハウス型説明会など最近になって何度か行われてきましたが、説明会開催の既成事実をつくるため、としか言いようがない中身のない説明会でした。質問しても、「まだ決まっていない」、反論しても、「法令に則り遂行している」、伐採される樹木の本数を訊いても「まだわからない」、との回答でした。
らちがあかないので地域住民で建物によって伐採される樹木の本数と高さ、種類を数えて回ったところ、800本以上伐採されることが分かり、多分建物の計画は早いうちから具体的になっていて、そこに該当する樹木はすべて伐採する、という本数も種類も関係ないスタンスだったのではないか、と推測します。本当のところはどうなのか、明らかにしてほしいと思います。
2.経産省、スポーツ庁によるスタジアム・アリーナ改革について
昨年度川崎市は、スポーツ庁から川崎新アリーナと等々力緑地再編事業計画について表彰されています。このことが、とどろきパーク株式会社と契約を結び、急速に計画が進んで具体化してきた要因となっているのではないか、と思われます。市が等々力パーク(株)が動き出した後に落札したのは事実であり、時期が前後しています。これは出来レースにほかならないと思われます。今回の素案説明会があって、そこで了承されるべき法令変更案件が、まるで既成事実のようにその法令に則って温浴施設、立体駐車場、大規模商業施設など、次々と実現されようとしています。これは絶対おかしいと言わざるを得ません。この点はどう釈明していただけますか。
また平成24年度のまちづくり委員会記録では、「等々力緑地の樹木が、生態系、人々の安全を守っている。炎天下の木陰はとても大切なので、緑被率を守っていくことが大切。住民の方々の意見をよく聞いて進めていきたい」というような意見が出ています。
それに対して当時の緑政部長からは「緑地外周の樹林地の形成は今後も大切になってくると思います。輻射熱を防ぐためには防災的な役割を持つ樹木林を複層的に植えていかないと火災の2次被害から避難をしてきた方たちが暑くて大変なことになってしまいます。外周植栽をもっと厚くしていく考えをもっています」という答弁をされています。このように当時の市は広域避難所の機能を守り、住民の命を守る防災機能を大切にしていきたいと思っている姿勢がうかがえます。
今回の素案を読んで、たった10年あまりの間に市の考えはこうも変わってしまったのかと愕然とする思いです。
また、条例が変わり、建物が公園内に乱立すれば、先日の武蔵小杉のグランツリー火災のように、広域避難所内から出火、ということにもなりかねません。条例を変える際、このあたりをどう考えているのか説明してください。
3「素案(5・6・301号等々力緑地公園の追加)について
先日の計画素案説明会に出席しましたが、まったくといっていいほど説明が分からず、ほとんど計画地図だけで、ここでもやはり、説明会を行ったという事実だけを残せばよい、という住民軽視の姿勢が強く感じられました。
本来法案変更があって、それもとづき再編整備が行われるべきもので、整備計画が先に出てきて具体的になってから素案説明会があること自体が本末転倒です。どういう経緯でこのような事態になったのか回答を求めます。
今回の素案全体が、等々力緑地再編整備を円滑に、法に則った整備にするためのものであることは明らかなため、反対する立場で意見を述べたいと思います。
〇緑地公園の追加、用途地区の変更について
変更理由として、素案では、「民間活力を活用して、再編整備を実施するなど、緑やスポーツの拠点としての役割を更に高めるため、市民、利用者団体、民間事業者による協同の取り組みを目指し、「新たな日常」を踏まえた公園機能の導入を進める」とありますが、市民の意見をどのように吸い上げたのか、次に「新たな日常」とは具体的にどんな日常をめざしているのか、回答を求めます。
次に「こうした位置付けのもと、主として、鑑賞、散歩、遊戯、運動等のレクリエーションおよび、大震災などの災害時の避難の用に供することを目的とする公園として更なる利用促進を図ることから、等々力緑地を廃止し、5・6・301号等々力緑地公園を追加する」とありますが、大震災等の災害時の避難と、後で述べる用途地区の変更で建設される数々の商業施設とは到底相容れません。2つの相容れないものをどう説明するのか回答して下さい。
〇第1種中高層住居専用地域から第2種住居地域に変更することについて
店舗兼住宅は2階以下、かつ150㎡以内や500㎡以下の飲食店や遊戯施設などの店舗建設可能から、変更後は10000㎡以下の大規模な店舗や事務所、遊戯施設、ホテル、コンビニ、ガソリンスタンドなどが建てられる事になります。
〇.高度地区の変更について
第2種住居地域に変更されることと合わせ、第3種高度地区に変更する事によって高さの最高限度は20mとなります。7階建ても可能となります。
公園敷地に大型店舗が建設される?これはゆゆしき事態であり、武蔵小杉駅前の喧噪と同レベルになってしまいます。大型施設建設で公園全体の室外機が339台設置されるそうです。地球温暖化が叫ばれる今と逆行して、等々力緑地温暖化現象が起こる可能性大です。
目の前に宮内中学校、宮内保育園、温浴施設のすぐ前に中原小、そばには西丸子小、宮内小、中原中があり、環境面から考えただけでも問題であり、安全面でも危険極まりなく、駐車場待ち渋滞が日常的に起こりうる場所となってしまいます。
また、等々力緑地を訪れた人々は、入り口にもお店が建ち並び、左は大型ショッピングモール、右は温浴施設、正面は野球場で、緑地が見えません。
〇防火地域および、準防火地域の変更について
現在の指定なし、から準防火地域に変更する。これは明らかに公園内に様々な大型店舗、飲食店、遊戯施設などを計画している証拠に他なりません。
広域避難所が準防火地域とは。この矛盾をどう説明するのか、回答して下さい。
〇地区計画の決定
地区計画の目標には、「周辺の住宅市街地への環境に配慮しつつ、多様なニーズに応えられる魅力ある地区を形成し」とありますが、こう言い換えたいと思います。
「周辺の住宅市街地への環境を阻害し、多様なニーズの中の一部のニーズに応え、憩いも、木陰も、奪い取られる地区を形成し」と。いかがでしょうか。
以上、素案にすべて反対する立場で意見を述べましたが、最後に驚いたのは、建築基準法第68条の2第5項で市町村が認めた場合、用途の制限を緩和できる、としていて、市はこの条項の適用を予定している、ということです。
これにより、市ととどろきパーク(株)が完全に一体となって再編を進めていることを確信しました。
ショッピングモールに遊びに来て、ついでに公園もどうぞ、と言っているような気がしてなりません。本末転倒です。
等々力緑地の素晴らしさは樹木と緑と、水と広場に囲まれた憩いの空間です。そこに長い間育まれてきた生態系があります。いとも簡単にそれを壊す、川崎市とパーク(株)の良識を疑います。
等々力緑地は川崎市の緑地です。とどろきパーク株式会社の緑地ではありません。再編事業費は川崎市民の税金です。巨額の税金を使って私達が願う再編から遠く離れていくばかりの再編事業に強く抗議し、それを裏付ける計画素案に反対の意を表明します。
公述人 G
都市計画の変更により 等々力緑地内外の環境の悪化や 緑地としての価値が下落する懸念があるため意見をのべさせていただきます。
建蔽率と用途地域の変更によって 従来の運動施設のほかに 自由提案施設という名の商業施設と2か所の立体駐車場の計画が実現されようとしています。
私は18か所50テナントともいわれる 商業施設と立体駐車場計画の再検討をもとめます。
その理由は次の3つです。
1つめに 建蔽率の変更についてです
建蔽率は現在11%ですが、このPFI事業だけの特例を設けて20%まで建築が可能となります。
具体的に計算しました。
現在の緑地は36.6Haで、その11%は4万㎡です。変更後は下水道処理施設上部の面積など 7.1haを加えて43.7haとなり、その20%は87,400㎡です。
つまり、今の2.2倍近い面積の建築が可能となりますが、追加となった
新しく等々力緑地に下水道処理施設上部には大きくて重い施設の建築ができないとのことなので必然的に 現在の緑地の敷地面積内に 2倍以上の建築物がたてられるということになります。
緑地内に2階から4階の高さの建築物が集中してたてられれば
眺望・見通しや風通しが遮断され、目に映る緑も激減します。
緑地内の環境や 緑地としての価値が損なわれることになる懸念があります。
2つめに 用途地域の変更についてです
自由提案施設の具体的な公表はまだされていません。
計画されていると思われる 1万㎡までの物販店舗、飲食店やホテルは用途地域の変更で建築可能となりますが
さらに パチンコ屋、カラオケボックス、ゲームセンターなどの娯楽施設も建築可能となってしまいます。
また、川崎とどろきパーク株式会社は、大規模集客イベント時の利用者の往来における影響の対策として、緑地内の店舗利用を促すなどで分散させる、といっています。
それらの店舗が温浴施設や飲食店であれば、必ずアルコールの提供がなされますよね?
治安の悪化は簡単に予測できます。
緑地の周囲には、保育園、小中学校が隣接していますし、放課後や休日に周辺の子供たちが過ごす場でもあります。
子どもを育む環境に、しかも公園の中にこのような用途の建物が建築可能となることは
一般的に考えて不適当ではないでしょうか。
3つめは駐車場計画です
現在の駐車台数560台を、1100台弱に増加する計画としています。
その台数は、スタジアムの収容人数と関係があると考え、他のスタジアムの駐車場台数について調べました。
横浜の日産スタジアムは7万人収容で、駐車場は656台。
東京都調布市の味の素スタジアムは7万人収容で740台。
また、等々力スタジアムに 立地や収容人数が似ているところでいうと、エディオンピースウイング広島、2万8千人収容で225台
ノエビアスタジアム神戸は3万人収容で700台です。
スタジアムの中には 交通混雑の対策の為に、Jリーグの試合のような大規模イベントでの一般利用はしない対策をとっているところも多くあります。
これにならうとすれば、等々力スタジアムは現在の560台でも充分ではないでしょうか。
何のために1100台もの駐車台数が必要なのでしょうか
駐車台数確保のために 広場をつぶし 立体駐車場をたてることは疑問です。
以上を踏まえて、質問が2つあります。
一つ目に、駐車場はどのような利用を想定して1100台必要なのでしょうか?
台数の根拠とそれが必要な理由を、市民が納得するよう説明してください。
二つ目に、自由提案施設の位置や規模、用途について公表する予定はあるのでしょうか?
またそれはいつでしょうか? しばらく前から工事の計画看板が立っているので 建物の詳細まで決まっているはずです。
しかし、実際は近隣住民のほとんどが 計画を理解していないと実感しています。市民の誰もが理解できる形での、積極的な情報開示を望みます。
そして 計画中、工事中、完成後にわたって市民や近隣住民との話し合いの場を設けてください。
最後になりますが、私は 市民の財産である貴重な樹木や広場を奪い、道の駅かアウトレットモールのような場所にならないことを望みます。
私たちは 等々力緑地を 魅力的な場所のまま、次世代につないでいかなくてはならないと思います。 以上です
公述人 H
① 変わらない価値観
緑地を公園に変更する理由はいったい何なんだろう。ずっと疑問に思っていました。
今までに2回ほど市の担当者に伺いました。8月には、「まだ詳しいことは言えませんが。緑地を公園に変えても中身はそんなに変わりません」という回答でした。9月のパークの説明会でも質問しましたが、結局よく理解できませんでした。
等々力緑地の廃止、そして公園を追加するとはどういうことなのか。理由書を読んでみましたが、どの理由書にも「社会環境の変化による市民の価値観の多様化」が書かれています。私はこの文言に引っかかりました。市民の価値観が多様化しているから、今の等々力緑地はそれに合わないということなのでしょうか。価値観の多様化に沿った等々力緑地に変更したいという考えのもと、この川崎都市計画素案が作られたのだろうと推測します。価値観の多様化は確かにあるでしょうが、変わらない価値観というのもあると思います。
現在の等々力緑地は、春には梅の花が咲き、桜の時期には、桜の園や催し物広場で大勢の人たちがお花見を楽しみ、たいへん賑わいます。ことさら賑わいを創出しなくても自然と賑わいます。夏の夕暮れには、藤棚の下でのんびり池を眺めたり、読書をしている人たちの姿が見られます。秋には、テニスコートのまわりのイチョウの葉が黄色く色づき、夕日に映えるイチョウの紅葉は見事です。イチョウの木の下で銀杏を拾っている人もいて、四季折々に等々力緑地の自然に触れて憩いの場として楽しんでいます。
そして1年を通して、ジョギングやウオーキング、犬の散歩をする人たちの姿がたくさん見受けられます。子どもたちはアスレチックや遊具公園で遊び、催し物広場でボール遊びなどを楽しんでいます。ボール遊びができる広場は貴重です。ボール遊びができる場所がなくなったら困るという子どもたちの声、遊具公園がなくなったら子どもを遊ばせる場所がなくなって困るという親御さんの声をぜひ聞いていただきたいです。
四季折々に自然とふれあい、また1年を通して子どもから大人までたくさんの人がそれぞれ思い思いに楽しむことができる。これが等々力緑地の大きな魅力であり、価値だと思います。市民の価値観が多様化したとしても、等々力緑地に求める市民の価値観は変わるものではないと思います。もし、価値観の変容の根拠があるなら、ぜひお示し頂きたいです。等々力緑地の価値を求めて多くの人が利用している、その魅力ある等々力緑地を壊さないでほしいと、強く要望します。
②「憩うところ」を守って
また、危惧されるのは用途地域の変更で、第二種住居地域になることにより、店舗や飲食店のほかに事務所、ボーリング場、スケート場、ホテル、旅館など建てられる建築物の用途が拡大するということです。
そういうものを建設しようとしている土地が、もともと何もない空き地ではなくて緑地です。緑地に商業施設を建設しようとしていることは驚きです。緑地ですから当然そこにはたくさんの樹木があり、そこで生態系を営んでいるたくさんの生き物たちがいます。
1941年、内務省により「等々力緑地」として都市計画決定がされました。1957年に川崎市が用地を買収し、1962年から公園施設の造成を始めました。ですから、60年間という長い年月をかけて大きな樹木に成長し、生態系ができあがってきたわけです。その樹木を、人間の都合で伐採して商業施設をつくる。こんなことが許されるでしょうか。人間の身勝手さ、傲慢さをとても感じます。
都市の将来像を示す「川崎市都市計画マスタープラン中原区構想」も理由書に記されています。それには、都市を構成する要素は、住むところ、働くところ、学ぶところ、遊ぶところ、憩うところ、の5つがあると書かれています。遊ぶところは、駅を中心とした賑わいのある商業地や公園、レクリエーション施設。そして、憩うところは、公園、緑地や河川などの自然環境となっています。等々力緑地も「憩うところ」になるわけです。
今、緑化フェアで緑地のあちこちにたくさんの花や木が植わっていたり、草が刈られていたりしてかなり整備されています。今までとの違いにびっくりするほどです。釣り池の藤棚の下にも素敵な椅子やテーブルが置かれたので、みなさんそこでお弁当を食べたり、釣り池を眺めたり、思い思いのことをしてゆったり過ごしています。先日私が行った時には、支援学級の生徒が先生といっしょに来て、ベンチに座って休んでいました。もし藤棚を壊してカフェレストランを建てるようなことになったら、お金を出してカフェに入らなければ、座って釣り池を眺めたり休んだりすることができないのです。緑地や公園は、子どもから大人まで様々な人が自由に思い思いに、しかも無料で過ごせる空間であるべきだと思っています。座る場所はこの芝生、遊ぶ場所はこの公園、飲み物はこのカフェで、など、自由がなく決められた場所で行動するしかない窮屈な公園になったら、ましてやお金を払わなければ池も眺められない公園になったら、人は等々力緑地にやってくるでしょうか。
「憩うところ」の自然を壊してショッピングモールや歓楽街のようにしてしまっては、賑わいのある商業地と同じになり、中原区には憩うところが減ってしまいませんか。この再編整備の計画は、「マスタープラン中原区構想」に反していると思いますが。どう思われますか?
「憩うところ」をぜひ残していただきたいと思います。
そして、憩うところには賑わいは必要ありません。賑わいと憩いは両立しません。理由書に、「自然と調和した安全・安心で賑わいのあるより魅力的な公園をめざして、再編整備の取り組みを推進する」と書いてあります。自然と調和する賑わいとはどんなものでしょうか。どのような賑わいを想定しているのか、川崎市のお考えをぜひお聞かせください。
今でも、サッカーやバスケットの試合の日、またイベントの時には大変な賑わいになります。朝から大音量で音楽がかかり、何か叫ぶようにしゃべっている声がマイクを通して聞こえてきます。窓を開けている季節には、テレビの音も聞こえないくらいです。地域住民にとっては、賑わいイコール騒音なんです。この騒音が日常的に続くとしたら、私たちの安心・安全な生活が脅かされます。これ以上、近隣住民に我慢を強いるのはやめてください。
③ 私たちの税金で緑地を壊さないで‼
今は、草もきれいに刈られ、あちこちに植物や小さな樹木も植えられ、かなり整備されました。これでもう十分ではないでしょうか。現在ある樹木や植物などは適切な手入れや管理をして大切にし、今あるものを活かして、さらに魅力のある等々力緑地にしていただきたいです。そういうことに私たちの税金を使ってほしいです。632億円という多額の税金を使って、大量の樹木を伐採し、子どもたちの遊ぶアスレチックや遊具公園をつぶすという、常識を疑うような整備は絶対にやめてほしいです。
川崎市とパーク株式会社による等々力緑地再編整備の方針の見直し、撤回を強く求めます。同時に、儲けを追及する企業を支えるために数々の変更を計画する「川崎都市計画素案」は到底認めることはできません。素案に強く反対します。
公述人 I
宮内に40年以上住んでいます。子どもたちは緑地で遊んで育ちました。
1つ目は、緑地内の樹木を切らないで整備してください
2021年等々力緑地再編整備実施計画骨子(案)のパブリックコメント実施の時、緑地周辺の住民のみしか知らされず、伝え聞いて説明会に参加し意見を出しました。2013年川崎とどろきパーク(株)がオープンハウス型説明会のお知らせは郵送で知らせてきました。住民のどれだけの範囲に、このことが伝わっているのでしょうか? 日常的に緑地で体操や活動されている人たち、緑地で遊んでいる子どもたち、学校の子どもや保護者には伝わっているでしょうか?緑地には、保育園や幼稚園の子どもたち、小学生もよく遠足に来ています。ホームページで知らせたからそれでよい、としてしまっていいことでしょうか? 公園は市民の財産です。中原区から川崎区にかけて等々力緑地は、今でも樹木や緑がたくさんある貴重な場所です。
私は、等々力緑地再編整備の際、今ある樹木を切らないで整備してほしいと2021年2023年と、意見を出しました。その時には樹木を切って商業施設を建てる話などありませんでした。
2015年の陸上競技場のメインスタンドの改修で蓮池がなくされました。
夏、子どもも大人もいっしょに安価で楽しめていたプールも老朽化を理由に解体され、周辺の樹木が切られました。
2017年には正面広場が整備されましたが、夏の木陰、秋の紅葉が楽しめていたケヤキ並木が、枝を極端に切られ点在させられました。「健康美」の像が横を向かされてしまいました。
野球場の前には桜や大きな木がありました。陸上競技場の入り口にあたる園路の両側には桜並木がありました。みんな切られてしまいました。
私の記憶にあるものだけですが、これらの緑がすでにここからは移されたものもあるかもしれませんが、すでに大きく減らされています。
植え替えますと言われても、この時のことからも現状と同程度に復元してもらえるとは思えません。幼木を植えても今の条件になるまでは年数がかかります。緑地の比率を増やし、今の計画より樹木を増やす計画にしてください。現在フロンターレが提供した遊具のあるところは藤棚がありますが、これも壊されようとしています。
地球温暖化が進み、今年の夏も厳しい暑さが続きました。陸上競技場前、野球場前は熱波の照り返しで通るのをためらうぐらいでした。これに逆行して、樹木を切り商業施設を建てることはCO2を増やし、地球温暖化の対策にも逆行するものです。樹木のそばに建物を建てることは、樹木の根を痛めることになります。
樹木を切り、広場をつぶし立体駐車場(2階建て高さ13メートル)が2か所も作ることや商業施設の建設は、広い空間で緑に親しむ公園にふさわしくありません。アリーナを建て替えることで、四季園の緑が減らされ、形が変わります。池のそばの藤棚の所に建物を建てることで景観が大きく変わります。池の向こうの桜が見えなくなります。
現在の樹木を極力残し、緑地の比率を増やす計画に練りなおしてください。
京都府立大学人間環境学部環境デザイン学科教授の下村孝氏の論文(Urban・Advance No.44 2007.10)では、都市における緑の効用―身近な緑がもたらす心身の健康と人間らしい生活―の中から一部を引用します。
暑い都市内で緑に期待される役割のもっとも分かりやすい側面は、大きく樹冠を拡げた緑陰の形成による太陽エネルギーの遮断であろう。大きく樹冠を拡げた樹木は太陽光の直射量を10%前後にまで軽減し、輻射熱による暑さを大幅に和らげてくれる。 街路樹など、単独の樹木の下よりも公園にある樹木群の下に入るとより涼しく感じるのはよく知られたことであり、植物の行う蒸散による冷却機能が効果を発揮しているからである。とあります。今回の計画ではこれが大きく失われます。
等々力緑地の運営を株式会社に任せる決定をし、パーク(株)の公園再整備の青写真が先にありきで、公園法を変える手続きを後追いで住民に伝えられたことにも、納得がいきません。
多様なニーズに対応するとしていますが、緑を現状のまま、さらに増やしてのニーズが現在の3割程度とは納得がいきません。すでにうしなわれた分も含め、回復させてください。
2023年から管理・運営を等々力パーク(株)に運営・維持管理業務の契約をしたとしていますが、この1年、維持管理が十分されているとは思えないところがあります。枯れ枝の撤去、下草の管理など緑地の管理がないがしろにされていると思います。背丈を超える下草にゴミを捨てる人もいます。つつじの上に葛のツタが覆っています。
2つ目です
○公共交通を利用する公園として整備してください。
等々力緑地内の再整備の説明だけはされていますが、周辺に住む住民の生活への騒音・環境汚染・交通障害などの影響については、全く考えられていない計画で納得がいきません。
・緑地内に駐車場が作られることで、災害避難場所としての有効性が失われ、より危険が増します。
・これまで3か所だったのが5か所で千台を超える車が出入りでき、さらに建物ごとの搬出入のための駐車スペースもあるので、公園内のCO2が大幅に増えると考えられます。公園の周りの市道は狭く、歩道のないところもあり、交通事故の増加や環境の悪化が懸念されます。駐車場を作ることで、今子どもたちが自由に遊べていた広場が失われます。
・緑地の周りには、中原小学校、西丸子小学校、みやうち保育園、等々力保育園、しらゆり宮内保育園、宮内中学校、さらに409号線沿いにも保育園があります。登下校の子どもの交通事故が心配です。CO2が増えることで環境悪化になります。商業施設を作ることで、治安が悪くなることが懸念され、子どもだけで遊べる今の環境が壊されます。
・サッカーの試合のある日は、今でも武蔵小杉駅方向、中原街道から武蔵中原駅方向も、人があふれ危険な状態です。自動車道にはみ出して歩いてくる人もいます。
たくさん通られるので、いつ飛び出されるかと気が気ではありません。路地から人が次々と出てきて歩くので大変な状況になっています。商業施設ができることで、人の流れをスマホのポイントをためる工夫で、人を公園内にとどめると説明されましたが、今より8000人も増やした観客がとどまるとは思えません。安易な計画説明です。
・現在は、溝口方向への輸送の対策はなされていず、路線バスが乗客を乗せるのに時間がかかり動けず、車で通るときは、追い越しをせざるを得なく危険です。次のバス停、薬師前で待っている人は乗れない状況があります。
・周辺道路の整備計画もなく、緑地内を再編整備しないでください。
最後にNHK「首都圏情報ネタドリ」から紹介します。
フランスでは、大規模な開発を伴うすべての事業について、住民たちが事業の構想段階から議論に参加できるようにする「コンセルタシオン(話し合い)」という制度を作っていて、透明性を確保するため、自治体が、住民と事業者との対話の方法などについて、議会に提案し、議決を受ける仕組みにしているそうです。
市民の意見を都市計画の構想段階から入れていく仕組で、取り組んでいただくことを強く要望します。
公述人 J
そもそも何故このような計画が生まれたのでしょうか? 川崎市の貴重な財産である等々力緑地を民間委託したことが原因です。何もない緑地、樹木が収益を生まないという企業の発想が自然を破壊し、人を呼びこむ箱物をつくり収益を上げるのです。しかしこの収益は本当の収益でしょうか? 一時的に収益を上げてもそれに反して都市は沸騰化し夏の気温は年々上昇し、観測史上初という数字を更新しています。今年の夏は東京都内の7、8月の熱中症による死亡者数は200人を超えました。地球温暖化は待ったなしの深刻な状況です。平均気温が産業革命以降1.5°C上昇すると温暖化は加速すると言われています。すでに1.64°C上昇しています。この状況の中、樹木を伐採して良いのでしょうか?
東京の明治神宮外苑の再開発問題において、新宿区が樹木伐採を許可して、本日樹木の伐採が強行されました。32万人以上の反対にもかかわらずです。樹木はCO2を吸収して酸素を排出します。地球上の生物にとって非常に重要な存在です。
2023年11月30日から12月13日まで、28回目となる国連気候変動枠組条約「COP 28」がアラブ首長国連邦のドバイで開催されました。世界の温暖化対策の進捗を評価する制度、「グロ−バル・ストックテイク」がついに動き出しました。CO2排出を抑制する樹木伐採はCO2を増加させます。CO2が増加し過ぎると、樹木はCO2を吸収しなくなるという専門家の意見があります。
現在、川崎市市政100周年記念事業の「全国都市緑化かわさきフェア」が開催されています。キャッチフレーズは「みどりで、つなげる。みんなが、つながる。」ですが、みどりとは何ですか? 樹木は2階建て以上の高さでなければ地球温暖化防止にはなりません。温暖化による災害対応は税金です。国民全員から森林環境税を徴収しながら自然を破壊する企業に伐採の許可をするとはどういうことでしょうか? 等々力緑地周辺には野鳥などの生態系が存在します。命を犠牲にする樹木の伐採計画に反対します。みどりとは何ですか? 来年3月にも予定されている緑化フェアはできるのでしょうか?
公述人 K
スポーツ公園として、アリーナや球技用競技場に陸上専用グランド、これらに関しては反対ではありません。しかし物販店舗や飲食店等は最低限の数にすべきと思います。テーマパークやアウトレットのような公園にはしないでください。
住宅地である宮内4丁目、等々力、小杉陣屋町2丁目の一部を公園に取り込み公園面積を広げ、公園内の施設建ぺい率を上げるとはどういうことでしょうか。住民への説明を希望します。
〇温浴施設や宿泊施設も建設できる、何でもあり公園法
環境への影響はすべて予測の数値、大型施設や店舗につけられる空調機器の室外機は異常な数です。緑地の環境影響評価の数値はすべて信じがたい低い数値ばかりを並べています。完成後に環境への影響がでた時は機器の撤去をしてもらえますか。
〇災害時の広域避難場所、これはこのままの公園法とは
この地はハザードマップを見てのとおり、浸水深10mにもおよぶ土地です。地震や川の氾濫等にどう対処し、被災した多くの市民が集まれる場所が店舗や運動施設で埋め尽くされることが、納得できません。
想定外の災害があちこちで起きています、この計画がどれほど安全なのか地震・水害・火災に分けて緑地の災害時使用方法を私たちに知らせてください。軟弱な地盤であること、水害が心配な地であること、施設には地下ができます、これらの安全性や災害時の近隣への影響、詳しく知りたいです。
〇都市公園はレストランや温浴施設が許可されて、火も自由に使えること
温暖化が身体におよぼす危険な激暑、緑の木陰まで減り、CO2の排出量が今の何倍もになるのが目に見えているのに、推測ばかりの数値を並べて中身のない説明に、もう市民生活など一切考慮せずに計画のために法を改正してまで緑地再編計画を進めることに反対をします。
計画の内容が私たちに少しずつ分かりだした今、推測や間違った情報を避けるためにも早急にどんな内容の建物か教えてください。
最後に、この地で生活する私たちは次世代へ負の遺産は残したくありません。必死な思いで書いた意見書を提出しました。心のある見解意見をお願いします。
2024年10月24日に行われた、(等々力緑地再編整備に関する)川崎市の都市計画素案に対する公聴会にて意見陳述を行った15名の公述人のうち11名の発言を、ご本人の了解の元に掲載しています。